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前回の内容で、ブルンストロームステージ(BRS)上肢の臨床実践法について詳しく解説しました。
前回の記事
▶【実録】ブルンストロームステージ上肢の臨床実践法
今回のテーマは、「BRS手指の重症度別臨床実践法」です。
「グーパーはできているのに、なんか変……判定どうすれば?」
「完全麻痺で全く動かない。ステージⅠでした。だけでいいの?」
「検査では左右差がないのに、日常生活で手が使えていない……。」
こんな「手指評価あるある」の悩みを抱えたまま、カルテに数字だけ書いていませんか?
この記事では、重症者・軽症者それぞれの視点で、教科書には載っていない「プロの観察眼」をお伝えします。
ブルンストロームステージ上肢の臨床実践法について確認できます。
▶【実録】ブルンストロームステージ上肢の臨床実践法
ブルンストロームステージの覚え方についての記事
▶知らないと損する!脳卒中後の回復過程もわかる暗記しないブルンストロームステージの覚え方
ブルンストロームステージ手指の臨床実践評価で、私たちが本当に見るべきポイントは以下の3つです。
●完全麻痺でも「関節拘縮予防と知覚誘導」がアプローチの核になること
●「左右差なし=正常」は大間違い。手指固有の筋の機能を見抜くこと
●両手の協調動作の「質」の評価がADLとのつながりを決めること
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ブルンストロームステージ手指評価のおさらい:なぜ迷うのか?

BRS手指評価の手順は、ステージⅢ「グー(手指集団屈曲)」とステージⅣ「パー(一部手指集団伸展)」の鑑別が最初の入り口になります。
手指はBRSの中で最も回復が遅れやすく、上肢ステージと必ずしも一致しない点に注意が必要です。

上肢と手指ってだいたい同じ領域にあるから、上肢ステージⅢなら手指もⅢになることが多いんじゃないの?

それが、そんなこともないねん。
「上肢ステージⅣでも手指はステージⅡのまま」とかいうケースは多いで。

〇暗記しないブルンストロームステージ上肢の評価フローチャートも確認できます。
▶暗記しないブルンストロームステージ上肢評価の流れ:知らないと損する!脳卒中後の回復過程もわかる暗記しないブルンストロームステージの覚え方|ヤマ脳勉強ブログ

BRS手指ってなんで回復が遅れやすいんだろう?

それは、手指の脳機能上の問題と日常生活上の問題の2つについて知る必要があるな。
解説していくで。
【手指の脳機能上の問題】
→理由①:手指は脳から最も距離が遠い末梢に位置しているため、神経伝達の回復に時間がかかるため。
→理由②:指先で細かな動作をする(巧緻動作)には、膨大な数の神経細胞が複雑に連携する必要があります。(具体的には、指腹の触圧覚機能、手指の動きや感覚から物の硬さや形を知覚・イメージする機能、道具の意味と操作に関する知識との統合など。)
※前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉など多くの脳領域の機能連携が必要となるため。
【日常生活上の問題】
→理由:手指が動かない間、患者は動かせる非麻痺側の手を使って代償することができてしまうため。そうなると、麻痺側の手を使う機会が減り、脳への神経伝達が乏しくなり「学習性不使用」に陥りやすいため。
といった具合に、BRS手指の評価は日常生活を送るためには、欠かせないものとなります。
重症者編:意識障害や完全麻痺ケースでのBRS評価法
まず重症者の場合のBRS手指評価法を確認していきます。
手指の場合は、上肢の評価と重なる部分が多いので、前回の記事が非常に参考になります。
その中でも、評価2のホフマン反射・トレムナー反射が重要になります。
手指の腱反射は評価しにくいため、「上肢の腱反射結果から手指の回復予測をする」という視点を加えると臨床的に有用です。
(前回の記事)BRS上肢の重症者の評価方法が参考になります。
▶重症者編:意識障害や完全麻痺ケースでのBRS評価法:【実録】ブルンストロームステージ上肢の臨床実践法|ヤマ脳勉強ブログ
軽症者編:「左右差がない」ケースのBRS評価の落とし穴
●検査上、手指が左右差なく動くのを確認できる。
↓
●日常生活でも問題なく使える。これは大間違いです。
「机上の評価と実際の能力のギャップ」が軽症者では大きい場合があるので注意が必要です。
病識の欠如だけでなく、「今まで使い慣れた動作は別のやり方で代替できる」という代償メカニズムがみられたり、運動麻痺ではなく、高次脳機能障害が影響しているかもしれないからです。

代償メカニズム??高次脳機能障害??
そこまで絡んでくるとわからないよ。
もうちょっと詳しく教えてよ。

まず、代償メカニズムは、例えば、「物をつまむ」ときは手指IP関節が伸展してつまむけど、手指IP関節を屈曲させて爪の先でつまむことも同じ「物をつまむ」になるやろ?

そうか!
結果さえ同じであれば、できていることに変わりはないもんね。

そういうことやな。
さらに、高次脳機能障害の中に、失認や失行があるやろ?
手指を使うってことは、かなり複雑な脳機能を使うことになるから、病識が欠如したり、受傷前の動作との比較することができなかったりなどするわけやな。

なるほど!そういうことか。
次は、BRS手指の軽症者の評価について教えてよ。

BRS手指の評価でステージⅥだった場合、さらに3つの評価で詳しくみていくといいで。
評価1:第5手指徴候による判定

前回の記事で、「上肢バレー徴候で異常なし→さらに第5手指徴候へ進む」という評価の流れを紹介しました。
第5手指徴候は、手掌を下にして腕を手を水平に前方に出してもらい、麻痺側の小指が外転していないかをみる評価になります。これで軽度の片麻痺を見落としません。

なんで小指の外転が生じるんだろう?

単純に外転筋>内転筋が関係するからやな。
小指を外転する作用は、小指外転筋や小指伸筋が主に関わる。
でも小指を内転する作用は主に、第3掌側骨間筋などの手指固有の筋になるから錐体路障害によって分離運動が障害され、力負けしやすいんやな。
評価2:指固有の筋を使った運動評価
上記で説明した通り、錐体路障害により手指固有の筋が障害されやすいです。
手指の巧緻性の評価は、指の運動の滑らかさや自由度が重要になります。また、物をつかみ操作する時も同じです。これらを事前に評価するために、手指内外転運動、指先つまみ、母指対立運動の3点が重要になります。
■手指内外転運動
↓
手指伸展のまま手指の内外転ができるかを評価。
↓
骨間筋(手指固有の筋)の働きを評価。軽度の麻痺があると難しい。
■指先つまみ
↓
MP関節屈曲+IP関節伸展(虫様筋肢位)と母指対立運動
↓
共同運動ではなく、より高度な分離運動が可能かを評価。

評価3:両手協調動作
仕事や家事、特にADLで使う動作を基に評価することが重要です。
■パソコン両手打ち
・実際の両手での文字入力の評価
・「麻痺側の母指がスペースキーを単独で押せるか」「Shiftキーと文字キーの同時打ちが可能か」など
■ペットボトルの開け閉め
・「把持と回旋の協調運動の可否」がポイント。「麻痺側手指で蓋を押さえるだけか」それとも「同時に把持しながら回旋しているか」
■袋の封を切る動作
・「ポテチの袋開け:指先で把持したまま両手の引っ張り合い(対称的な力の調整)」「薬の封開け:指先で把持したまま回外運動、一方を手関節背屈運動でねじり切れるか」

今まで左右差だけをみていたけど、こうして手指の評価を詳しくみていくと何の機能をみていけばいいかわかるね。

1つの事象だけで評価してしまうと、見落としてしまいがちやけど、複数の評価と組み合わせて病態を把握する姿勢が大切やな。
ブルンストロームステージについて脳科学を用いて解説されています。
▶なぜ動かないのか?運動を阻害する3つの要因:運動麻痺の回復を正しく理解する:Brunnstrom Stageと”動かない理由”を脳科学で読み解く!|ヤマ脳勉強ブログ
\片麻痺と協調性検査に特化した専門書/
・臨床貢献度:★★★★★
・定価:\4,180
・概要:B5/140頁/web動画50分

片麻痺と協調性検査について詳しく解説されているので、「運動障害」の病態把握がしやすいのが特徴です。
完全麻痺でも重要なアプローチ
脳画像上をみて、運動野がガッツリ障害されている。
完全麻痺で治る見込みがない。
↓
三角巾やアームスリングで麻痺側上肢の重さをとってADL練習!
ってことをしていないですか?
麻痺側の手指が完全麻痺になると、関節拘縮などの二次予防が重要になってきますが、そこではアプローチに注意しないと逆に悪化させることになるかもしれません。
重要な視点について解説していきます。
手指関節拘縮が起きやすい理由
まず、手指屈筋と伸筋で筋力量の差があります。
もちろん、手指屈筋>手指伸筋となります。
そしてもう一つ。BRSのステージを思い出してみて下さい。
ステージⅢでは集団屈曲、ステージⅣで集団伸展という形になっています。
これは、手指屈筋群の方が痙性が優位となりやすく、MP・PIP関節は屈曲拘縮が進みやすいことが示唆されます。これに対して早期のポジショニング介入が必須となります。
手指関節拘縮を予防するアプローチ
ここでは、関節モビライゼーションと指腹ポジショニングの方法について解説します。
■関節モビライゼーションのポイント
痛みを出さない関節モビライゼーションが重要となります。
特にPIP関節は関節拘縮が進みやすいです。
・疼痛が出る
↓
・交感神経亢進&逃避反射で屈筋が優位に働く
↓
・手指屈筋群の筋緊張亢進へ
の悪循環になるため、愛護的に行うことを徹底する必要があります。
\関節モビライゼーションを基礎から学ぶことができます/
→関節モビライゼーション方法に自信がない方は勉強になります。
\関節モビライゼーションを疾患別に詳しく学ぶことができます/
→手技を中心に学ぶ場合は、コチラの方がおすすめ
■指腹へのタッチとポジショニング
関節拘縮予防にタオルを丸めたり、スポンジを「軽く握る」ということをすることがありますよね。
これは、非常に惜しいです。
上記で説明した手指の脳機能上の問題で説明した通り、手指は指腹で感覚を感じ取る能力に優れています。
「軽く握る」だけではなく、「指腹が何かに触れている」状態を作ることが感覚入力維持の目的となり、過剰な筋緊張亢進の予防につなげることができます。

あのさ~手指が屈曲しちゃって、関節拘縮が進み筋緊張亢進している患者さんだと伸ばすと痛みが出ちゃうんだよね。
その場合はどうしたらいいの?

そういう時も上記のアプローチを応用するといいで。
いきなり伸ばさずにタオルや柔らかい素材(写真は毛布)を指腹に優しくこするようにすると筋緊張が緩和して伸ばしやすい環境をつくることができるで。

左右半球症状別の評価の視点
脳卒中の場合、右半球損傷か左半球損傷かによって症状が異なることがあります。
主に高次脳機能障害の半側空間無視と失行が関係してきます。それぞれの特徴別に評価の視点を確認していきましょう。
■右半球損傷(半側空間無視や失認)
麻痺側手指の認識が低下するため、運動麻痺がなく、分離運動が可能であっても意識的に使う機会が減っていることがあります。
【評価の視点】
検査上(リハビリ中)では、使えているのに日常生活上では全く使っていない(使用頻度が減少)ということがみられます。

意識的に減ってしまうってことは、声掛けとかで使用を促せばいいの?

そこは議論が分かれてしまうところなんやけど……。
注意を向けるってことは、前頭葉の機能をフルに使うことになるから患者さん自身ものすごい過度に集中していることがあるねん。
だから、両手動作を使用するものなどを促す方がいい時があるからケースバイケースになるな。
実際に脳卒中を患い、半側空間無視の主観的な訴えや左側から声を掛けられる不快感など、セラピストが知っておくべき患者のリアルな視点を学べる書籍を2選ご紹介しておきます。
\脳卒中当事者のリアルを知ることができます/
\脳卒中当事者の声とリハビリで何が必要かを学べます/

この2冊を読めば、今まで自分がしてきたアプローチを振り返るきっかけとなり、ガラッとアプローチが変わりますよ。
まとめ:BRS手指の評価は「文脈と流れ」が重要

BRS手指の評価は、上肢以上に「文脈」と「流れ」が問われます。
●重症者では「動かない」から始まる関節拘縮・感覚低下の予防を見据えること
●軽症者では「動く」ことに満足せず、手指固有の筋の働きと両手の協調性を追求すること
●半球症状による「使えない理由」まで踏み込んで初めて、根拠のある評価になること
×「BRSステージⅣでした」ではなく、
〇「集団屈曲は出るが横つまみが拙劣で、母指対立は不可。左半球症状による失行の影響も考えられる」
そこまで言語化できて初めて、次の治療につながる評価になります。
早速、今日から学んだ評価を一つでも実践し、「文脈と流れ」を意識してみて下さい。
次は、BRS下肢についても具体的な実践方法を紹介していきます。
\ブルンストロームステージと協調性検査のすべてがわかる/
\豊富な動画コンテンツが魅力/
以上、ヤマでした~。
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