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前回の内容で、ブルンストロームステージ(BRS)を丸暗記に頼らず、回復のメカニズムから理解する覚え方をご紹介しました。
〇前回の記事:知らないと損する!脳卒中後の回復過程もわかる暗記しないブルンストロームステージの覚え方
今回のテーマは、より踏み込んだ「BRS上肢の臨床実践法」についてです。
「教科書通りに動いてくれない。」
「意識障害があって評価できない。」
「軽症すぎて判定に迷う……。」
そんな場面の「困った」を解決する評価のコツを伝授します。
ブルンストロームステージ上肢の臨床実践評価で、私たちが本当に見るべきポイントは以下の3つです。
●「随意性」だけでなく「筋緊張と反射」の推移を追うこと
●代償動作を「動きが出た」と誤認しない観察眼を持つこと
●日常生活動作(ADL)へのつながりを常に意識して判定すること
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ブルンストロームステージ上肢評価のおさらい:なぜやり方で迷うのか?

BRS上肢評価の手順は、ステージⅢ(十分な共同運動が出現)からみていくのがわかりやすいです。
基本的には、「屈曲共同運動」から「伸展共同運動」、そして「分離運動」へと進みます。

〇暗記しないブルンストロームステージ上肢の評価フローチャートも確認できます。
▶暗記しないブルンストロームステージ上肢評価の流れ:知らないと損する!脳卒中後の回復過程もわかる暗記しないブルンストロームステージの覚え方|ヤマ脳勉強ブログ
しかし、実際の臨床(特に急性期や回復期初期)では、教科書通りのきれいな分離運動が見られることは稀です。

そうそう!
実際の患者さんでは、教科書と違った反応が多いから、BRSの判断に迷うことがあるんだよね。

確かに難しいケースは多いな。
重症者と軽症者の場合で詳しい評価の内容をみていこか。
重傷者の場合
→「反射をみる」
軽症者の場合
→「速度と質をみる」
といった具合に、患者さんのステージによって評価の「ギア」を切り替える必要があります。
重症者編:意識障害や完全麻痺ケースでのBRS評価法
特に急性期では、意識障害を伴っていたり、せん妄などで指示が入らないケースや、全く動かない「弛緩性麻痺」の患者さんを担当することがあります。
「この患者さんは、BRSステージⅠでした。」
で終わらせては、プロの評価としては不十分です。

って言われても何をどう評価したらいいのかわからないんだよ。

あんまり教科書に載ってないけど、実際に私が臨床で評価していることを紹介するで。
評価1:「顔の近くで手を離す」テスト
顔の近くで手を離した際、わずかに顔を避けるような動きがあるかを評価します。
完全に脱力しているように見えても、止めるような動きやゆっくり落ちるような反応がみられる時があります。
この評価で、原始的な保護反応やわずかな筋緊張の出現(BRSステージⅡへの移行徴候)を察知することができます。


あと、このテストで意識障害の程度(昏睡レベルか傾眠レベル)も評価することでができるで。
評価2:病的反射と腱反射の掛け合わせ
随意運動がゼロでも、ホフマン反射やトレムナー反射などで錐体路徴候を確認することができます。
YouTube動画で病的反射の評価方法が確認できます。
▶ホフマン反射:神経学的検査 病的反射(Medical Online Video)
▶トレムナー反射:26 神経診察(YouTubeでみる身体診察)
また、Fugl-Meyer Assessment(FMA)でも採用されているように、腱反射(大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋)を確認します。

腱反射って実はあんまりよくわかっていないんだけど、何を診ているの?

臨床的には、錐体路障害(脳から脊髄レベル)の重要な兆候をみるのに必要なんやで。

でもさ、腱反射って人によって個人差があるよね。
元々亢進している人や減弱している人っているから、それをどうやって評価すればいいのかわからないんだよね。

いい視点やん。
腱反射で大切なことは、左右差をみることが重要やねん。
健側と比較して患側がどうなのかを判断する必要があるで。
■患側病的反射陽性&腱反射が亢進しているケース
↓
脳からの抑制が効いておらず、脊髄レベルの興奮性が高まっている。
↓
錐体路障害あり
■患側病的反射陰性&腱反射が減弱しているケース
↓
下位運動ニューロン(脊髄~筋レベル)の障害により、興奮性が弱まっている。
↓
末梢神経障害の可能性
■両側病的反射陽性のケース
↓
脳幹病変、脊髄障害の可能性
〇運動麻痺でなぜ動かないのか?の理由がわかります。
▶臨床現場で直面する「なぜ動かない?」の壁:【臨床に役立つ脳科学】運動麻痺の「なぜ?」を解明する勉強法と実践ガイド|ヤマ脳勉強ブログ
▶「なぜ脳の病気で手足が動かなくなるの?」脳科学から運動麻痺を理解する|noteぷぴぽ@脳科学が大好物な脳卒中認定理学療法士
軽症者編:「一見動けている」ケースのBRS評価の落とし穴
「指も動くし、肩も挙がる。麻痺はないですよね?」と患者さんが言うケース。
ここで「上肢BRSステージⅥ」、「左右差なし。正常」と安易に判断するのは禁物です。

どうして?
見た感じ左右差なければ、正常と判断したらよくない?

患者さん自身の病識が欠如しているケースや日常の動作だけで判断していないか?ということを考える必要があるで。

そうか!
高次脳機能障害や仕事で行う複雑な動作や重たい物を運ぶ時にうまくできないケースを考えないといけないんだね。

そういうことやな。
専門家である私たちが、しっかり見落とさないことが重要やで。
評価1:上肢バレー徴候による判定
両肩関節屈曲90°で手の平を上(回外位)にして、両腕を前方に提示してもらい、目を閉じてもらいます。
すると、麻痺側上肢が回内位になりながら(手の平が内側に向く)下がってきます。
これが隠れた麻痺を見つける第一歩です。
YouTube動画で上肢バレー徴候の評価の方法が確認できます。
▶17 神経診察 Barre徴候の巻(YouTubeでみる身体診察)

なんでこんな手の平を上にして、閉眼にすると回内位で落ちてくるんだろう?

錐体路障害では、
・回内筋>回外筋
・屈曲筋>伸展筋
で筋緊張が強くなりやすいからやで。
同時に、手掌を下にして腕を手を水平に前方に出してもらい、麻痺側の小指が外転していないかをみる、「第5手指徴候」も確認しておくと軽度の片麻痺を見落としません。
評価2:複合動作での「質」の評価
検査上で確認する動作は、それだけに集中できてしまうので見抜けない場合があります。
しかし、実際の日常生活動作(ADL)で行う動作は、両手動作でより複雑なものになります。
例えば、以下のような動作を見て「質」を評価します。
■顔を洗う動作
↓
肩関節を内転位と前腕回外位を維持したまま、肘と手関節を上手く使って水をすくい、顔に届くか。
■ラジオ体操(大きく腕を振る)
↓
体幹の対称性・垂直性を維持したまま、左右上肢の軌跡にズレがないか。
このような両手を伴う複合動作を確認する必要があります。
ステージⅤとⅥの境目は、「速さと滑らかさ」です。健側と比較して、わずかな「ぎこちなさ」や「遅れ」があるなら、それはまだ完全な分離運動とは呼べないことになります。

こうしてみると、ブルンストロームステージだけで評価するんじゃなくて、色んな視点が必要なのがわかるね。

脳卒中は、教科書通りにいかないことが多いから、色んな視点をもっておくことが重要やで。
発達障害児の身体図式の評価において「雪の中の天使」と呼ばれるユニークな検査方法が紹介されています。
▶背臥位で評価できる「雪の中の天使」(認知神経リハビリテーション学会HP 会長からのメッセージN0.77)
ブルンストロームステージについて脳科学を用いて解説されています。
▶なぜ動かないのか?運動を阻害する3つの要因:運動麻痺の回復を正しく理解する:Brunnstrom Stageと”動かない理由”を脳科学で読み解く!|ヤマ脳勉強ブログ
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まとめ:BRS上肢の評価は「掛け合わせ」が重要

ブルンストロームステージ(BRS)は、単なる数字のラベル貼りではありません。
●筋緊張と反射の推移
●左右差の比較による分離運動の質
●生活の中での実用性
これらを組み合わせることで、初めて「根拠のある評価」になります。
「なんとなくステージⅣかな」ではなく、
「前腕の回内外が不十分な状態で、共同運動の影響が残っているからステージⅣ」と、
動作を分析して言えるようになると臨床はもっと面白くなりますよ。
次は、BRS手指や下肢についても具体的な実践方法を紹介していきます。
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以上、ヤマでした~。
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