こんにちは、ヤマです。
脳卒中認定理学療法士として回復期・急性期病院で働いた経験をもち、脳科学を活かしたリハビリをしています!

脳の部位と機能はだいたい頭にはいったから、これで脳画像の読影も病態解釈もばっちりなのかな~

実は、脳の部位と機能だけでは、脳画像の読影も病態解釈もまだ不十分なんや。

えー!そんな~。じゃあ、どうすればいいのさ~

脳の部位と機能の知識をさらに活かして、脳のネットワーク(コネクティビティ)について理解を深めるとええで!
脳をさらに理解するためには、”コネクティビティ(connectivity)”について勉強して、脳科学をより理解するための勉強法を紹介します。
はじめに「脳の働き」は”点”ではなく”線”で見るとわかりやすい

脳の機能を学びはじめたばかりの頃は、どうしても「前頭葉=〇〇」、「側頭葉=〇〇」という”部位と機能のセット”のみで、脳画像や病態解釈に挑んでしまいますよね。
「脳=部位ごとに分かれている」という理解だけでは不十分
なぜ不十分なのかというと、実際の脳は、もっとダイナミックに動いているからです。
■例:会話中
✖言語野だけが働く
〇言語・感情・記憶が同時に働いている

脳は、関係している部署同士が連絡しながら、私たちの色んな複雑な行為を可能にしています。
この記事では、そんな”脳のネットワーク”=コネクティビティ(connectivity)という視点について、「どうやって脳機能を学べばいいのか?」を解説していきます。
コネクティビティとは?脳の”チームワーク”を知る
コネクティビティとは、脳内の異なる領域がネットワークでつながって働くことを意味します。
簡単にいえば、「チームを組んで協力している様子」といったイメージです。


コネクティビティって種類があったりするのかな?

コネクティビティには大きく2つの種類があるで。みていこか。
・構造的コネクティビティ:神経線維による物理的な接続(道路のようなもの)
例:上縦束という神経線維(前頭葉と頭頂葉を接続)
・機能的コネクティビティ:活動が同時に起きる領域の連携(通信のようなもの)
例:何かをみてすぐに名前が出てくる時、後頭葉(視覚)・側頭葉(記憶・言語)・前頭葉(言語・判断)が一斉に接続


私たちが、何かを思い浮かべたり、行為をするときの脳の活動は、単体の領域だけで完結することはなさそうなのがわかります。
ステップ1のまとめ
- コネクティビティには、構造的コネクティビティと機能的コネクティビティがある
- ひとつの行動は、複数の脳領域のチームプレーが関係している
コネクティビティがわかると、臨床でも役立つ

■「この患者さん、言葉はでるけど、会話が続かないな…」
■「動作はできるのに、段取りになると混乱するな…」
こうした複雑な症状の背景には、脳のコネクティビティの乱れが原因であることが少なくありません。

もしかして!脳卒中の急性期で、脳画像上は感覚野だけの梗塞でも運動麻痺が出現しているのもこれが関係している?

いいところに気づいたやん!運動野(前頭葉)と感覚野(頭頂葉)は、脳のコネクティビティが強いから、それも起こり得るな。

そっか!だから、時間と共に運動麻痺が回復したりすることがあるのか~

そういうこと!一時的に機能が落ちてただけなので、回復することがあるで。これは機能乖離(きのうかいり)といわれているんやで。
脳の”つながり”で脳画像や症状がみれるようになると、
「単に〇〇が障害されている」ではなく、
「〇〇と〇〇の連携がうまくいっていないのでは?」と推測する視点がもてるようなるので、臨床の推察力を鍛えることにもつながります。

脳のコネクティビティは、駅と線路でイメージするとわかりやすいかも。②脳科学で最初に勉強すべきポイント2選で解説しているのでよかったら見てみてください。
コネクティビティを勉強するのにオススメの書籍
第3版では、「病期別の脳卒中理学療法」や「頭部外傷」、「脊髄損傷の障害と理学療法」などの新しい章が追加されています。新たに脳卒中のリハビリを行う上で脳科学のベースとなる脳の構造と症状だけでなく、最新の知見による脳同士のコネクティビティについても幅広く勉強することが出来る一冊です。学生や現職のセラピストにとって役立つ情報が豊富に含まれています。

私は、第1版と第2版を買って勉強しました。第3版は、よりパワーアップし、わかりやすくなっていますね。何度読んでも勉強になる良書です。
最新の知見が多く、内容は難しく感じるかもしれません。しかし、詳しく解説されているからこそ臨床に役立つ脳科学を学ぶことができます。脳損傷後の機能回復メカニズムや運動学習の重要性、疼痛の多面的な捉え方などコネクティビティについても勉強することができます。理論だけでなく、実際の臨床に役立つ情報が豊富に含まれているので、臨床現場の実践に直結する内容が多いのも魅力的な一冊です。
この脳のコネクティビティの考え方は、リハビリの療法士だけでなく、看護師・介護士の方にも役立ちます。

行動の背景にある”脳のネットワーク”を知ると、日々のケアや声かけも変わりますよ。
ステップ2まとめ
- 複雑な症状の背景には、脳のコネクティビティの乱れが原因であることが少なくない
- 脳のコネクティビティは、駅と線路でイメージするとわかりやすい
- オススメの書籍は、リハビリの療法士だけでなく、看護師・介護士の方にも役立つ
脳のネットワークを学ぶ最強の勉強法


脳のネットワークを学ぶ重要性についてはわかったけど、どうやって勉強していけばいいの?

それじゃあ!とっておきの最強勉強法について2つ紹介するで。
脳のつながりを学ぶ最強の勉強法
- 行動観察から「どんな脳の連携が働いているか」を考える
- 症例を「脳のネットワーク視点」で振り返る
ポイントは、”最高の先生は患者さん!”患者さんから学ぼうです。
行動観察から「どんな脳のコネクティビティが関係しているか」を考える
たとえば、テレビを見ながら感情的にツッコミをいれている場面では、
視覚だけでなく、感情、言語、記憶などの領域が同時に働いています。

臨床の場合、例えば
「会話がぎこちない」場合→言語・注意・記憶のネットワークのどこが関係しているのか?という視点をもつことが大切です。
疑問をもつことで、調べた時になるほど!という関心や驚きが記憶の定着を助けてくれます。
効率的に脳科学を勉強したい方はコチラ→①初学者必見!効率的な脳科学の勉強方法
具体的には
- 言語の表出 or 言語の理解のどちらが不十分なのか?
- 話しをしたことに注意を向けてしっかり聞いていたのか?
- 話すことに過剰に注意が向きすぎていないか?
- どんな記憶を参照して話しているのか? など

でもどうして、書籍だけで勉強するより、わざわざ患者さんの行動観察から推察した方がいいんだろう?

それは論理的に考える力をつけるには、評価→仮説→検証のサイクルを意識することが重要だからやねん。
観察力や推論力を鍛えたいについては、②脳科学で最初に勉強すべきポイント2選で紹介しています。

患者の行動観察を通して、評価→仮説→検証をすることが、「どんな脳のコネクティビティが関係しているか」を推論する力を鍛える最良の方法になるで。
例:「会話がぎこちない」
評価の結果
- 脳画像上は前頭葉のブローカ野が障害
- STより発語失行が疑われると情報あり
- 患者の症状を注意深く観察し、再評価
- 症例は言葉を出す時にうまく話せないから過剰努力により口腔の動きがぎこちない


情報は、脳画像だけとか自分の考えだけよりも、他職種などの様々な角度から情報を得ることで評価がより正確になります。
症例を「脳のネットワーク視点」で振り返る
考えることはインプットになります。インプットしたあとは、アウトプットが重要になります。アウトプットすることでさらに脳のネットワークの理解を深めることにつながります。

どんな脳のコネクティビティが関係しているか、考えたあとはどうやってアウトプットすればいいの?

症状や行動を脳のネットワークで説明できるように意識することやね。さきほどの「会話がぎこちない」症例で考えてみよか。
例:ブローカ野による発語失行が出現→「会話がぎこちない」
■表面的な症状(行動レベル)
- 話すときにぎこちない
- 一語一語に過剰努力がみられる
- 言葉を出すときに時間がかかる
◆従来の見方(局在論的)
△「ブローカ野(左下前頭回)が損傷しているから発語が困難」
◆コネクティビティ視点(脳のネットワークからの見方)
〇「発語は単一部位で完結しない。ネットワークの連携不良」
として考えることができる。

まずは、「会話」のために関連する脳領域と機能についておさらいしてみよう。
関連する脳領域とつながり(大まかに)
機能 | 関与する脳領域 | つながりの意味 |
言葉を聞く | 側頭葉(一次聴覚野) | 会話する相手との意思疎通 |
言葉の意味を理解 | ウェルニッケ野・角回・側頭葉 | 言葉が意味とつながる |
言語のプランニング | (左)下前頭回・運動前野 | 発語の順序とタイミングを設計 |
文法の整理 | ブローカ野(文法中枢) | 会話の「文法」を整える |
発語の実行 | ブローカ野(運動性言語中枢) | 運動指令を出す |
発語運動 | 一次運動野 | 実際に話す |
発話の微調整 | 小脳 | なめらかさとリズムの調整 |

この会話に関係するネットワークが理解できると、「会話のぎこちなさ」は、”言葉が出ない”のではなく、”言葉をスムーズに出す脳のチームプレーがうまくいっていない”という視点がもてます。

こういったことを理解して、同じ担当者や同僚、後輩に説明できるようになると自分の理解を深めるだけでなく、周りからの信頼貯金も増えてより良い環境を築くことにも繋がります。
さらに、この視点を持つことで
■リハビリではどこを意識すべきか
■支援する時に何に配慮すべきか
■回復の可能性があるのか など
といったことがみえてきます。
ステップ3のまとめ
- 脳のつながりを勉強する最強勉強法は2つ
- ①行動観察から「どんな脳の連携が働いているか」を考える
- ▶患者の行動観察を通して、評価→仮説→検証をすることが、「どんな脳のコネクティビティが関係しているか」を推論する力を鍛える最良の方法
- ②症例を「脳のネットワーク視点」で振り返る
- ▶症状や行動を脳のネットワークで説明できるように意識し、アウトプットすること
専門書紹介 脳のネットワークをもっと学ぶならこの1冊

医療が向き合うのは「人間」であり、その人間らしさを形づくるのが高次脳機能です。
本書では、脳損傷によって損なわれる「こころ」や「意識」といった繊細な機能を、神経科学の視点から深く学ぶことができます。
前半では、高次脳機能に関連する脳の構造とネットワークをわかりやすく解説。
後半では、臨床でよく出会う高次脳機能障害(半側空間無視、失認、失行)について、最新の研究を踏まえたリハビリテーション戦略が丁寧に紹介されています。
「症状の背景にある脳のつながりを理解したい」「目の前の患者さんをもっと深く捉えたい」——
そんなあなたに、臨床をさらに面白くしてくれる一冊です。

PTであっても失語に対応できるようになって、この方は失語があるからリハビリがうまくいかない。ということがないようにしたいですね。
まとめ ”ネットワーク”を意識すると、脳の理解は一気に深まる

今回は、脳のネットワーク、コネクティビティから理解する脳科学の勉強法について解説しました。
脳は1つの部位だけで働いているわけではありません。
つながり・コネクティビティ・ネットワークという視点を持つだけで、症状や行動の解釈に深みがでます。
- コネクティビティには、構造的コネクティビティと機能的コネクティビティがある
- ひとつの行動は、複数の脳領域のチームプレーが関係していると考える
- 複雑な症状の背景には、脳のコネクティビティの乱れが原因であることが少なくない
- 脳のつながりを勉強する最強勉強法の先生は患者から学ぶこと
- 「どの脳のコネクティビティが関係しているか」を推論する力を鍛え、説明できるようにし、アウトプットすること
一言でまとめると、
”脳には色んなつながりがあり、そのつながりは患者を診ることで意識できる”です。
今回紹介した勉強法や書籍を参考にしながら、
あなたの臨床現場でも「脳のチームワーク」に注目してみてください。
以上、ヤマでした~。
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