こんにちは、ヤマです。
脳卒中認定理学療法士として回復期・急性期病院で働いた経験をもち、脳科学を活かしたリハビリをしています!
このブログの内容が、臨床現場で働く方の役に立ち、一人でも難解な脳科学の知識と仲間が増えることを願い、ブログを書いています。
高次脳機能の評価やリハビリに向き合うとき、
「結局この患者さんは”どこでつまずいているのか”??」
「症状はわかるけど、”行為の理解”まで説明できない…」
そんなモヤモヤを抱えたことはありませんか?
新人セラピストの多くは、
- 症状の分類で終わってしまう
- 行為レベルでの破綻が説明できない
- 臨床推論が”経験頼み”になってしまう
という壁にぶつかります。
そこで強力な助けとなるのが、『森岡周:高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション』です。
この本は、高次脳機能の知識を「脳科学」「行為の理解」「臨床推論」という一本の線でつなぎ、明日からのリハビリを変える”臨床の軸”を与えてくれます。
書籍の構成は大きく2つに分かれています。
第1部 人間の高次脳機能について
- 注意とワーキングメモリ
- 知覚とキネステーゼ
- 言語とコミュニケーション
- 自己意識とディシジョンメイキング
第2部 高次脳機能障害のニューロリハビリテーション
- 半側空間無視のニューロリハビリテーション
- 身体・病態失認のニューロリハビリテーション
- 失行のニューロリハビリテーション

高次脳機能に関する基礎的な情報「注意・知覚・言語・自己意識」とリハビリでもよく遭遇する「半側空間無視・失認・失行」に関するリハビリでまとめられているんだね。ところで、ディシジョンメイキングって?

ディシジョンメイキング:ある目的を達成するために、複数の選択肢の中から最適なものを選ぶ「意思決定」のプロセスのことやな。
私たちが、行為をすることも様々な意思決定の上で成り立っていることをわかりやすく説明されとうで。
この記事では、
新人セラピストでも今すぐ臨床に活かせる”行為に基づいた臨床推論のプロセス”を、書籍の要点とともにわかりやすく解説します。
行為の理解から臨床推論ができるセラピストになる3つの方法
- 高次脳機能の理解は、脳の情報処理過程を活かした構造理解をベースに考える
- 『高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション』を活用し、臨床の違和感を説明できるための基礎を作る
- 症例の”違和感”を見逃さず、患者さんの内なる個別の情報を活用し、アプローチを行う
なぜ新人セラピストは「高次脳機能」でつまずくのか?

高次脳機能に苦手意識がある新人セラピストは非常に多いです。
その原因は「知識不足」ではなく、むしろ”知識の整理の仕方”にあります。
まずは、つまずきの本質を明らかにします。

僕も高次脳機能って苦手かも。

大丈夫やで!まずは一つずつ確認していって、つまずきの本質を確認していこか。
高次脳機能障害を”症状の羅列”で理解してしまう問題
臨床で新人が最初にぶつかる壁は、
「症状は知っているのに、行為の問題としてつながらない」
という状況です。
- 半側空間無視
- 注意障害
- 失行
- 遂行機能障害
などを分類として覚えるほど、かえって臨床で混乱しやすくなります。

確かに国試で勉強したとき、症状を分類して覚えたから何とかイメージできるけど、詳しくは説明できないね。

臨床では、同じ”半側空間無視”でもタイプが色々あるねん。せやから、症状を知っているだけでは、患者さんの症状をみて「何これ?なんで?」ってなるわけやな。

ほんとその通りだよ。

患者さんは、どこの空間を見落としているのか?
▷近くの空間?遠い空間?
▷自己から左側?物体の左側?
このように行為のレベルでどうなっているのかを把握することがまず大切やで。
行為レベルの破綻として理解していないと、実際の臨床ではフリーズ確定です。
症状を並べるだけでは、
- 患者さんが何に困っているか?
- どこが行為のボトルネックとなのか?
は見えてきません。
「臨床推論=経験」だと思い込む危険性
新人セラピストの多くが、
「経験がないから、推論できない」と考えています。
しかし、高次脳機能の臨床推論は”経験ではなく、構造理解”が軸になります。
つまり、
脳の処理(入力→統合→出力)を理解していれば、経験の少ない新人でも的確に推論できるようになります。

ちょっと難しくなってきたね。どういうことか教えて。

そしたら、”半側空間無視”で考えてみよか。
まず、空間を把握することは、どのような脳の処理が必要かを知る必要があるで。

図1 視覚情報処理経路

おぉー視覚の情報処理経路って空間認知と形態認知でわかれているんだね。

そうやで。これを基にして、半側空間無視の患者さんの症状をみていくわけやな。

まさに、”経験ではなく、構造理解を軸”に考えることが重要ってことだね。
目からの情報を”くっきり”させて脳に伝える仕組みの一端が解明されています。
- 症状分類の暗記からの脱却が重要であり、”行為レベルの理解”に結びつけることが重要
- 臨床推論=経験という誤解に注意が必要であり、高次脳機能障害を理解するには、”脳の処理構造”を理解し、推論することが必要
- 情報処理の流れを理解することが、行為のどこで破綻しているのか見抜くことができる
『高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション』が新人に最適な理由

森岡先生の本は、難しい理論を学ぶための専門書ではなく、
”臨床の違和感を説明できるための基礎を作る本”です。
新人にこそ向いている理由を解説します。
高次脳機能を”脳回路ベース”で理解できる唯一の入門書
この本の最大の特徴は、
症状の説明ではなく、様々な研究の知見から
脳回路の働きや高次脳機能を理解できる点です。
脳のネットワークとして理解すると、
「なぜその症状が起こっているのか」
「なぜその行為が破綻するのか」
が直観的にわかるようになります。

やっぱり脳はネットワークが大事なんだね。

脳領域の機能×脳のネットワークでつながりが理解できると、
患者さんの行為の理解がグンっと進むはずやで。
〇臨床症状と脳部位の関連性について解説されています。
▶臨床症状と脳部位の関連性【運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害のメカニズム】
〇脳のつながり”コネクティビティ”について詳しく紹介されています。
▶「脳の働き」は”点”ではなく”線”で見るとわかりやすい:⑥脳は”ネットワーク”が重要!コネクティビティから理解する脳科学の勉強法
”行為の理解”につながる臨床推論の軸が手に入る
この本は、患者さんの”行為の理解”につながる
臨床推論の軸となる知見が多く盛り込まれています。
森岡先生が提唱する
脳損傷によって、人間らしさをつくる高次脳機能(注意・知覚・言語・自己意識など)が失われた患者さんの訴えを正確に捉え、行為の回復につなげる必要がある。
そのためにも、私たち療法士が病態を把握するための知識を有しておくことが重要であるということです。
- 行為がどのような脳の情報処理を経て成り立つのか
- 脳損傷部位によって、どのような破綻が生じるのか
- どこの脳領域が使えるか見定めて、どこを介入ポイントにするか
が自然に理解できるようになります。
ニューロリハビリの視点で「機能回復の道筋」が見える
本書は、ニューロリハビリにおいて脳の機能回復は”行為の回復”と結びつけて説明しているため、
読んだ直後から臨床の見え方が変わります。
- 脳科学の知見から患者の行為のエラーの意味がわかる
- 問題点が推測できるため、介入プランの根拠が持てる
- 患者の脳機能の改善と行為の回復がリンクするため、改善のロードマップが描ける
など、新人に必要な”臨床の軸”が作られます。
- 高次脳機能の病態理解は、”脳神経回路ベース”で理解することが重要
- 脳の情報処理の流れの理解は、”行為の理解”につながり臨床推論の軸となる
- この本は、臨床推論の軸となる病態・介入・予後予測の軸につながる
臨床で迷わない!行為の理解につなげる”臨床推論フレーム”

この本を読むことで、手に入る最強の武器が、
行為に基づいた臨床推論フレームです。
これは新人でも明日から使える思考方法です。

行為に基づいた臨床推論フレームか~ちょっと気になるね。

脳の情報処理過程に沿って、
入力
↓
統合
↓
出力
↓
結果
の流れで解説していくで。
入力:注意・知覚・感覚統合処理のどこで破綻しているかを見る
行為がうまくいかない患者の多くは、
情報の”入力段階”でエラーがあります。
- 視覚や感覚情報を取りこぼす、そもそも見てない
- 注意が向かない
- 概念が邪魔をして身体感覚が正確に入ってこない
ここを把握するだけで、治療の方向性が激変します。
統合:頭頂・前頭ネットワークでの”意味づけ”を推論する
情報は入っていても、
「どのように使うか」の統合がうまくいっていないケースもあります。

情報は入っているのに、「どのように使うか」の統合がうまくいかないケースとかあるんだ。

例えば、”失行”をイメージするといいで。
「これはハサミです。」って言えていても櫛みたいに使ってしまう方とかやな。
- 行為の指示や今から行うことが理解できない
- 状況判断が鈍く、遅くなる
- 行為の遂行が不安定となる
といった現象につながります。
出力:運動プランニング~遂行のどこに問題があるか整理する
出力の障害は、
「やりたいけどできない」という状態です。
患者さんの歩行、食事動作、更衣など、
行為が滑らかにできない理由を脳科学では、分解して整理することができます。

”運動プランニング”をしている時の脳ってどんな領域が関わっているの?

脳卒中後に運動麻痺が起こる仕組み:【臨床に役立つ脳科学】運動麻痺の「なぜ?」を解明する勉強法と実践ガイド
でも紹介している図をここでも載せておくで。


そうか!左上の図が運動プログラミングに関係しているんだね。
結果:行為として患者が”何に困っているか”を再定義する
最も重要なのは、
症状ではなく”行為”を見ることです。
行為レベルで問題が特定できると、介入は一気にシンプルで効果的なものとなります。

”大腿四頭筋の筋力低下”とか、”股関節のROM制限”よりも「起立の時に非対称で起立が不安定」っていう風に見ていくってことかな。

その通りやな。思考の流れとしては、
行為レベルで問題点の特定
(起立が非対称)
↓
impairmentを脳科学の視点と絡めて推論(
麻痺側殿部の知覚低下→体性感覚or注意障害)
↓
脳のネットワークでどこが問題か推論
(第一次体性感覚野や前頭-頭頂ネットワークに損傷がないか)
↓
実際の患者さんの主訴やimpairmentで整合性をとる
(殿部の知覚に左右差はないか?)
って感じやな。
- 臨床推論のフレームは、脳の情報処理過程に沿って、入力→統合→出力→結果の流れで考える
- 臨床推論フレームを使った思考の流れは、「行為レベルで問題点の特定」→「impairmentを脳科学の視点と絡めて推論」→「脳のネットワークでどこが問題か推論」→「実際の患者さんの主訴やimpairmentで整合性をとる」
症例の”違和感”を脳科学で読み解く!臨床に落とし込むための分析ステップ

臨床で高次脳機能を扱うとき、一番のヒントになるのは「目の前の症例の違和感」です。
- なぜその行為だけ失敗するのか?
- なぜ同じエラーを繰り返すのか?
- なぜ動きと認知のズレが起きるのか?
- なぜ思考せずに動いてしまうのか?
こうした疑問を”脳科学の言葉”で読み解くことができれば、
リハビリの臨床推論の質は一気に高まり、介入の根拠が明確になります。
ここでは、症例を脳科学的に整理するための具体的な分析ステップを紹介します。
症例の「違和感」を脳機能レベルで分解する視点を持つ
患者の動作・言動にあるわずかな違和感は、
脳のどの機能が働いていないかを示す重要なサインです。
違和感を”現象”として記録するだけでなく、
脳の情報処理の”入力・統合・出力”のどこでエラーが起きているかを推論します。
例)コップの中の水を飲む
| △:”現象”として記録した場合 | 〇:”入力・統合・出力”で推論した場合 |
| ①コップに手を伸ばす 視点:コップまでぶれずに手を伸ばせているか? ↓ ②コップを持ち口に運ぶ 視点:コップを落とさずに口に運べているか? ↓ ③水を飲む 視点:水をこぼさずに飲めているか? | ①コップに手を伸ばす 視点:視線はコップを向いているか? どれくらい注意を集中しているか? (入力:コップまでの距離と上肢の運動覚) (統合:視覚と運動覚情報) (出力:手をぶれずに伸ばす) ↓ ②コップを持ち口に運ぶ 視点:コップの持ち方と力加減はどうか? 口に運ぶ時に自然な形でコップが傾いているか? (入力:コップの重量、上肢の運動覚など) (統合:事前の予測と実際の運動) (出力:コップを落とさずに口に運ぶ) ↓ ③水を飲む 視点:水を飲むのに代償は出ていないか? どれくらい注意を集中しているか? 途中で話しかけても動作がブレないか? (入力:コップの重量覚と上肢の運動覚など) (統合:水の流れの予測と手の傾き) (出力:コップを傾ける適切な運動単位) |
このように実際の行為は複雑なネットワークの協調で生まれます。
”現象”だけで説明しようとすると、必ず限界が来ます。

これに関しては、脳は”コネクティビティ”が大事で、行為は複雑なネットワークがあることを説明していたね。

そやな。最初は難しいと思うけど、最初からネットワークを意識して考えるクセをつけるとええで。
〇脳のコネクティビティについて詳しく理解することができます。
▶コネクティビティとは?脳の”チームワーク”を知る:⑥脳は”ネットワーク”が重要!コネクティビティから理解する脳科学の勉強法
行為の”破綻ポイント”を言語化することで推論が深まる
行為は「連続した情報処理プロセス」で成立します。
そのため、
- どの情報処理段階が破綻しているか
- その結果として何ができていないのか
を言葉にすることで、介入ポイントが明確になります。

わざわざ言語化ってする必要ってあるの?
頭で考えていたらそれでいいんじゃない?

それが違うねん。
言語化することで、一度出力されたものが耳から入ることが重要やねん。
頭だけで考えてたら、脳が勝手に合理的にまとめてしまい気づかないことがあるんや。
一度やってみたら、よくわかると思うで。
「本で得た知識→臨床→再読」で理解が深まる理由
本を読んだだけでは理解が表面的になりがちです。
しかし、症例を照らし合わせて読み返すことで、
- 抽象概念が具体例として結びつく
- 意味づけが深まり、記憶として定着しやすい
- ”知識が臨床推論を補う形”に変わる
というメリットがあります。
〇自分の患者さんに置き換えて本を読むメリットについてまとめています。
▶本を読むときは「自分の患者さん」に置き換えて考える:【初心者向け】脳・神経疾患を理解する!医療者におすすめの本3選
〇脳卒中の場合、丸暗記ではない具体的な勉強法が確認できます。
▶脳卒中の理解を深める具体的な実践法:③【初心者必見】脳卒中のリハビリが変わる!脳科学を臨床で活かす秘訣
- 「目の前の症例の違和感」を脳科学の言葉で読み解く努力をする
- 症例の違和感をネットワークを意識して考えるクセをつけるようにする
- 行為の破綻ポイントを一度言語化することで、気づきが生まれる
- 本をただ読むだけでなく、症例を照らし合わせて読み返すことが重要
新人セラピストが明日から使える!「行為の理解」に基づいた介入の考え方

行為レベルで臨床推論ができるようになると、介入は驚くほど”納得のいくリハビリ”になります。
ここでは、すぐ使える臨床例を紹介しながら解説します。

たしか脳血管疾患の場合、症状だけをみるんじゃなかったよね。

よう覚えとったやん。
脳血管疾患の場合は、脳のネットワークを理解することが重要やな。
〇脳のネットワークの勉強法について詳しく解説されています。
▶脳のネットワークを学ぶ最強の勉強法:⑥脳は”ネットワーク”が重要!コネクティビティから理解する脳科学の勉強法
目に見えない患者の行為の裏側を評価するメリットについて確認できます。
注意障害・半側空間無視を”行為レベル”で見る視点
運動麻痺だけでなく、高次脳機能障害においても
”行為レベル”で見る視点は重要になります。
単に「注意が低下している」のではなく、
「行為として何ができないのか」で理解します。

注意障害とか半側空間無視でも”行為レベル”で見るって例えばどんなこと?

食事中に左のお皿だけ全然手をつけていない半側空間無視の患者さんを想定してみよか。
| △半側空間無視を”機能レベル”だけで見る場合 | 〇半側空間無視を”行為レベル”で見る場合 |
| ・左側だけを見落としている(現象) ↓ ・「もっと左を向いて」と左側に注意を向けさせる(アプローチ) | ・左側だけを見落としている(現象) ↓ ・お皿の中の左側だけを見落としている? ・患者さんからみて左側全体を見落としている? (現象の分析) ↓ ・実際に患者さんの視線はどこを見ているのか? ・実際の食事場面では、どのようにスプーンで左側にアプローチをして食事をしているのか? (行動観察) ↓ ・病前の食事は、三角食べをしていたのか? ・元々どのような嗜好でどんな風に食事をしていたのか? (アプローチの構成) |

なるほど!”行為レベル”でみようとすると、細かく分析しないとわからないもんね。

そうやねん。
”行為レベル”でみると「行動観察」や「アプローチの構成」をする時に患者さんの個別の情報(癖や病前の記憶など)を引き出そうとする点が重要やな。
遂行機能障害のリハビリを”作業手順”に落とし込む方法
遂行機能障害においても
”行為レベル”で見る視点は重要です。

遂行機能障害も何か例を挙げて教えてよ。

ほな、”料理の段取り”でイメージしてみよか。
| △”料理の段取り”を機能レベルでみる場合 | 〇”料理の段取り”を行為レベルでみる場合 |
| (現象) ・料理に使う食材の準備ができていない ・料理に使う機器の準備ができていない ↓ (問題点に対する推論) ・手順の外在化による負荷軽減 ・注意の持続を確保する ・手順の順序性を反復学習で定着させる ↓ (アプローチとアウトカム) ・メモを見れば手順をこなせる ・途中で作業が止まりにくくなる ・作業効率が改善する ※観察ポイント ・注意の持続が切れて作業が中断していないか ・取り組む順番がバラバラになっていないか ・メモや指示へ過度に依存していないか ・一つの作業で固執していないか ▷現象ベースの観察となりやすい ※推定される神経基盤 ・注意の障害(前頭ー頭頂ネットワーク) ・ワーキングメモリ低下(背外側前頭前皮質) ・手続き記憶の障害(大脳基底核ー小脳回路) | (現象) ・料理に使う食材の準備ができていない ・料理に使う機器の準備ができていない ↓ (問題点に対する推論) ・行為の「目的」や「意図」を再構成する ・行為のスキーマを再活性化する ・過去の経験と現在の行為を比較・統合する ・行為の”意味”を介して、自然な動作の流れを取り戻す ↓ (アプローチとアウトカム) ・メモがなくても「作りたい料理」に沿って段取りが組める ・道具・材料の選択が自然になる ・作業中の迷いが減り、行為の流れが出現する ・自発性や主体性が上がる ※観察ポイント ・「作りたい料理のイメージ」が曖昧ではないか ・過去の成功体験と結びつきが弱くないか ・手順の「意味づけ」ができているか ・行為に関連した道具・材料が結びついているか ※推定される神経基盤 ・行為のスキーマ、シミュレーションの障害(前頭ー頭頂ネットワーク) ・行動の意思決定の失敗(腹内側前頭前皮質) ・意味記憶との統合不全(側頭葉) |

よくわかったけど、でも一番困るのが、どんな声掛けをしたらいいのかがわからないことなんだよね。

じゃあ、行為の意味を呼び起こす問いかけを紹介しとくで。
- 「何を作ろうとしていますか?」
- 「その料理をするとき、いつも最初に何をしていましたか?」
- 「その料理をおいしく作るために大切なことは何でしたか?」
- 「この道具はどんな時に使いましたか?」
- 「作ったあと、どうなれば完成ですか?」
これをベースに、各症例に合わせていってな。

そういうのを待っていたんだよ。
患者に問いかけて、内なるものを引き出そうとすることなんだね。
アプローチの本質が見えてきたよ。
身体失認・身体図式の障害を”身体所有感”から説明する
ただの運動エラーではなく、
「身体をどのように認識しているか」という視点を持つと、介入の質が変わります。

”身体失認”ってどうしても感覚障害との区別がつかなくて困るんだよね。

確かに難しいな。
ほな、実際に左手の”感覚障害”と”身体失認”について説明していこか。
| ”感覚障害”の身体認識の例 | ”身体失認”の身体認識の例 |
| ・患者さんの訴え 「左手がわからない」 「左手が薄い感じがする」 ・脳の責任病巣 →第一次体性感覚野、視床の後外側腹側核、内包後脚、放線冠の後方 ・アプローチ →CI療法 →ミラーセラピー など | ・患者さんの訴え 「左手?これは私の手ではありません」 「左手は動かないけど、使えます」 ・脳の責任病巣 →右下頭頂小葉 ・アプローチ →意図を用いたセルフタッチ →多感覚統合アプローチ など |

こうして比較すると、
感覚障害→自分の手を認識できているけど、わからない
身体失認→感覚はあるけど、自分の手が認識できない
っていうのがよくわかったよ。

何かを覚える時は、比較しながら覚えるのがポイントやで。
〇脳血管疾患と脳腫瘍を比較しながらの勉強法について確認できます。
▶脳血管疾患と脳腫瘍を比較して理解する:④脳腫瘍は難しすぎる?臨床につながる”意欲的な”勉強法
フォイヤーシュタインが提唱した比較学習について学ぶことができます。
▶藤本浩一,他:フォイヤーシュタインの理論と日本での実践-発達障害から才能教育まで-研究紀要.人文科学・自然科学篇,2006.37-59.
- 脳血管疾患の理解と同じく、行為の理解も脳のネットワークが大切
- 各高次脳機能は、患者さんの内なる個別の情報がアプローチのカギとなる
- 覚える時は、比較しながら覚えるのがポイント
まとめ:高次脳機能の理解は”行為の理解”がゴール。新人こそ早く始めるべき理由
最後に、『高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション』を
新人セラピストが使う意義をまとめます。
要点は以下の二点です。
→本書を軸にして”行為”から臨床推論する力を育てよう!
→高次脳機能を学ぶことは、治療選択の幅を広げる投資である!
行為を起点に考えることが、
すべての高次脳機能の理解につながります。
そして、脳科学の知識が深くなるほど、
- 患者理解が変わる
- 介入の質が変わる
- 説明力が変わる
新人ほど早く学ぶ価値があるため、少しずつでも頑張ってみて下さい。
以上、ヤマでした~。
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